次世代の採用プロセスでは、あなたのオンライン行動データまでもが判断材料になります。
「ストーカー」というのは大げさすぎるかもしれませんが、あなたのパソコンやスマホの画面に表示される広告、メール、通知の多くが、あなた専用に最適化されているのです。このことは、もうすでにご存知かもしれませんが、こうした最適化は、さまざまなWebサイトやアプリでの閲覧履歴や行動などを収集・分析することによって実現しています
そして、このような "ストーカー行為 "は、人材採用のプロセスにも及んでいます。
雇用主は、「タレントCRM」(別名「リクルーティングCRM」)という新たなツールを使い、候補者が応募してくるずっと前から、候補者との関わりを持ち始めています。このようなツールのデータベースには、アクティブな候補者、潜在的な候補者、そして過去に応募したことのある候補者が含まれます。
人事や採用に詳しい方であれば、「それってATS(Applicant Tracking System)じゃないの?そんなの昔からあるでしょ!」と思われるかもしれません。従来のATSにタレントCRM機能を搭載したものも出てきていますが、両者の主な違いは以下の通りです。
ATS:実際に応募してきた応募者の情報を管理することに重点を置いているタレントCRM:タレントプールと応募者数を増やすことが可能
ATS:候補者が提供した情報に基づいて候補者を評価
タレントCRM:ソーシャルメディアやブログなどのオンライン行動を分析し候補者のプロフィールを充実させることが可能
ATS:エンゲージメントの測定はできない
タレントCRM:各候補者が特定の求人に対してどれだけ興味を持っているかを知ることが可能
また、ATSはどちらかというと、ワークフローとコンプライアンスのための生産性向上ツールですが、タレントCRMはそうではありません。
では、実際にどのような機能があるのでしょうか?
タレントCRMは将来的に、Cookiesやフィンガープリンティング、またはクッキーに代わるほかの技術を利用し、候補者のオンライン行動を追跡、各候補者が特定の職種にどれだけ適合するかを分析します。もちろん、候補者の同意を得た上で、GDPRに準拠して行われます。
現在のタレントCRMは、まだその段階には至っていません。彼らは主に、オンラインイベントを開催したり、インスタントチャットなどのオンラインエンゲージメントチャネルを開設することで、雇用主が候補者のパイプラインを増やすことを支援しています。また、候補者がソーシャルメディアのプロフィール(Facebook、LinkedInなど)を共有したら、ウェブスクレイピングなどを使ってウェブページから情報を抽出し、タレントCRMのデータベースにあるプロフィールを充実させます。