「あなたのデジタルアイデンティは?」
Avatars in Metaverse
「あなたのデジタルアイデンティは?」という質問には違和感を感じ、うまく答えられない人が多いと思います。しかし、バーチャル空間やメタバースでの活動が多くの人にとって当たり前になった世界では、今のSNSアカウントを持つのと同じくらい当たり前の感覚で現実の自分とは異なるデジタルのアイデンティティとして、アバターやデジタルファッションを保有するようになるかもしれません。
すでにVR ChatやRec Room、clusterなどのバーチャルSNSではアバターを介してコミュニケーションを楽しんでいる人が大勢います。
しかし、ここには一つ課題があります。
Matthew Ballのメタバースに関する有名なエッセイや、Metaへのリブランディングを発表した今年10月のConnect 2021でMark Zuckerbergが語っているように、多くの人が言及しているメタバースの1つの要素として相互運用性(Interprobablity)があります。これは、例えばFortniteとRobloxといった異なるサービス間で同じアバターや通貨などのデジタルアセットを共通して使えるようになるという特徴です。
現在はほとんどのプラットフォームで、特有のアバターが使われておりプラットフォーム間での相互運用性があまりありません。
そんな中で、メタバース時代のデジタルアイデンティティを確立しようとアバターを開発しているスタートアップが多くありますが、今日はその中から3社をピックアップしてご紹介したいと思います。
Genies
Geniesは創業者であるAkash Nigamは学生時代に現在のGeniesを起業したことで知られています。
SNSアプリ「Blend」からピボットをして、Geniesをローンチした時期はSnapchatのBitmojiが話題になっていた時期で、FacebookやApple、Googleもアバターサービスに力を入れようとしていましたが、Geniesはそのカスタマイズ性でユーザーを魅了しBitmojiの1番の対抗馬として名乗りを挙げました。
初期のGeniesは自分が作成した2DアバターがGeniesのアルゴリズムに従ってレコメンドされたニュースを組み入れたアニメーション動画が作成されるというもので、若い世代向けのBuzzFeedを目指していました。
しかしこれは思い通りにいかず、2018年にセレブとのコラボレーションとGucciとの大型契約により、アプリをリニューアルしました。
さらに2020年末には3Dにも対応し、Geniesは同社が「Alphas」と呼ぶ、Z世代に属するトレンドセッターやテイストメーカー、さらにセレブリティやアスリートたちをターゲットにさまざまな契約やコラボレーションを実現させていきます。
また、今年の11月にジャスティン・ビーバーがGeniesのアバターをSNS上で使って、クリスマスアルバムの発表をしたことも特に話題になりました。
また、Geniesの躍進の要因となったのはコロナウイルスのパンデミックがありました。パンデミックの中でコンサートやイベントに物理的に参加できないセレブたちはGeniesのアバターを使ってファンとの交流を行いました。
Geniesはより多くのプラットフォームでGeniesのアバターを使えるようにSDKを公開し、多くのプラットフォームでパートナーシップを結びたいと語っています。
Ready Player Me (Wolf3D)
Ready Player Meは2014年創業のWolf3Dが開発するアバターツールで、すでに260以上(21年7月現在)のゲームやアプリで使用されています。
Wolf3Dはもともと、人物の画像のスキャンからスタートし過去7年間で約2万人の人物をスキャンしてデータベースに登録し、自撮りベースのデジタルアバター技術の開発を続けてきました。それが、コア技術となり一枚の自撮りを元に簡単にアバターが作成できるReady Player Meを開発しました。
Wolf3Dはクロスプラットフォームのサービス構想をしており、長期的な目標は「多くの異なるバーチャル体験をつなぐもので、それらを一つの大きな仮想世界にして、友人たちとアバターを介してシームレスに体験できるようにすること」と語っています。
RTFKT
RTFKTはデジタルファッションを中心に扱うブランドで、アーティストのFewociousと制作したバーチャルスニーカーを310万ドルで7分以内に完売させたことで非常に話題になりました。
直近では、村上隆とのコラボNFTとして「CloneX」という3Dアバターを制作しています。
「CloneX」RTFKT STUDIO / TAKASHI MURAKAMI
RTFKTの創業者たちは、こういったデジタルアイテムがFortniteやその他のゲームでも使えるように現在取り組んでいると語っています。さらに、直近ではNikeがRTFKTを買収し大きな話題になりました。
今回は3社しか紹介できませんでしたが、その他にもSnapやMetaといったテックジャイアントからスタートアップまで多くの企業がメタバース時代のデジタルアイデンティティのポジションを獲得するために動いています。
皆さんも是非、実際にサービスを試して理想の自分に近づけるアバターを作ってみてください!
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