数千万人が熱狂:Ariana GrandeがFortniteでコンサートを開催!

数千万人が熱狂:Ariana GrandeがFortniteでコンサートを開催!

超人気ポップスターAriana GrandeのFortniteでのバーチャルコンサートが8月7日-9日に複数回開催されました。(現時点で参加人数は公表されていません。)

Fortnite上でのバーチャルコンサートは昨年開催されたTravis Scottのライブなど多くの注目を集めています。

イベントレポート

今回のAriana Grandeのコンサートではおよそ12分間で彼女の曲以外も含めて、全8曲が流れました。

“Come & Go” by Juice WRLD & Marshmello
“Audio” by Sia, Diplo & Labrinth / LSD
“Victorious” by Wolfmother
“7 Rings” by Ariana Grande
“Be Alright” by Ariana Grande
“R.E.M.” by Ariana Grande
“The Way” by Ariana Grande feat. Mac Miller
“Positions” by Ariana Grande

またイベント内には今までのイベントとは違いレースやシューティングといったミニゲームが組み込まれていることが特徴的でした。

イベントのカウントダウンが終了し少し時間が経つと、プレイヤーはピンク色の空間に吸い込まれ、カラフルなペイントのコースでサーフィンのようなレースに参加しました。

その後ピンク色の植物が生えた島で飛び跳ねながら空間を自由に移動した後、以前もFortniteに登場したボスキャラ「Storm King」とジェット機に乗りながら戦うシューティングゲームが行われました。

そして、Storm Kingにジェット機が撃ち落とされると、プレイヤー同士が手を取り合い回復し合う演出があり、幻想的な風景とともにAriana Grandeのアバターが現れ代表曲である「7 Rings」を歌い始めました。

その後は様々な演出とともにAriana Grandeの曲が披露されます。コンサートを見逃してしまった方は以下の動画で公式のフルバージョンビデオを見ることができます!

過去のバーチャルライブ

既に非常に有名なFortnite上での有名ミュージシャンによるコンサートですが、一番最初にバーチャルコンサートをFortniteで開催したのは「Marshmello」でした。このコンサートにはおよそ1,070万人のプレイヤーが参加をしました。

その後、このバーチャルコンサートがさらに有名になった要因である「Travis Scott」のコンサートが2020年4月に開催されました。このコンサートには2770万のユニークユーザーが参加し、同時接続プレイヤー数は1230万人を記録しました。また、YouTubeで公開されているアーカイブ動画は(2021/08/24現在)1.6億回以上再生されています。

またFortniteは、コンサート以外にもアイテムやゲーム内イベントなどにおいて、Marvelの超有名IPからネイマールといったスター選手まで数多くのコラボレーションを実現しています。(今までのコラボレーションのリストはこちら

さらに、昨年11月には同じくゲーム会社の「Roblox」上でTikTokで楽曲が話題になったラッパー「Lil Nas X」がバーチャルコンサートを行いました。このライブには累計で3300万人が参加し(ユニークユーザー数は不明)、Fortniteのライブに引けを取らない盛り上がりになりました。

リアルコンサートより短時間で数倍儲かるバーチャルコンサート

上記のようにかなりの盛り上がりを見せているバーチャルコンサートですが、ビジネスやカルチャーの面でも大きな影響を与えています。

今回のAriana Grandeのコンサートでどの程度Ariana Grandeに収益が渡っているかは公表されていませんが、Forbesの記者を中心に多くのメディアがTravis Scottが受け取ったと言われている$20M以上の額が支払われるのではないかと予想しています。

またこの数字は、2018年から2019年にかけてTravis Scottが開催したツアーの1公演の最大売上が$1.7Mであったことと比較するとかなり大きな数字になっています。さらに、ツアー全体の収益は$53.5Mと言われており、Travis Scottはわずか9分間のバーチャルイベントで4ヶ月にわたるツアーのおよそ37%を稼いだことになります。

さらに、従来のリアルコンサートであれば振り付けやセットなどの準備にはアーティストが直接関わり、コストも事前に準備することが必要になることが多いですが、Fortniteでのバーチャルコンサートでは、もちろんアーティストの協力は一定あるとは考えられますが、多くの作業をEpicのアニメーターが行い、コストの前払いはおそらく必要ありません。

もちろん、アーティストやそのファンにとってリアルイベントとバーチャルイベントには大きな違いがありますが、ビジネス面にのみ関していうとバーチャルイベントの方が遥かに収益性が高いものとなっています。

さらにこれらの直接的な収益だけでなく、バーチャルコンサートによる副次的な効果もあります。

米国で最も権威のある音楽チャートBillboardによると今回のAriana Grendeのコンサート期間にイベント内で使用された彼女の楽曲のストリーム数が最大で123%も上昇しました。

また、イベント内では他のアーティストの曲も使用されましたが、オーストラリアのロックバンド、Wolfmotherの「Victorious」は、663%の増加と最も大きな割合でストリーミング数が増加しました。

また昨年開催されたTravis  Scottsのバーチャルコンサート内で披露された新曲「The Scotts」は翌週のBillboard The Hot 100 Chartで1位を獲得しました。(コラボしたKid Cudiにとって初のBillboard 1位。)また「The Scotts」を除いてもイベント翌週の彼のディスコグラフィーのストリームは38%増加しました。

テクノロジーと音楽

Ariana Grandeのコンサートを含むFortniteでのバーチャルイベントについて「メタバース」という言葉が使われることも多いですが、これらのバーチャルイベントはメタバースそのものではありません。

メタバースについてはまだ議論の余地も多いですが、例えばFortniteでのバーチャルコンサートでは同時接続した人数に関わらず同じ仮想空間に表示される人数は50人まで(通常のFPSでは100人まで)であることなど、今現在、大まかに合意されているメタバースの重要項目を満たしていません。

メタバースについてはAmazon Studiosの元Head of Strategyで現在はVCでもあるMatthew Ballさんのブログがとても有名で勉強になるので是非読んでみてください。

このブログの中ではメタバース内でのエンターテインメントについても語られています。

今までテクノロジーはエンタメコンテンツなどに多くの影響を与えてきました。例えば、ビデオゲームがケーブルテレビからゲームコンソールに移り変わったことによって、ゲームの保存が可能になり、「ゼルダの伝説」や「ファイナルファンタジーVII」といったユーザーが長時間プレイするゲームが実現可能になりました。

また音楽業界でも同様に、ラジオ放送からレコード、テープ、デジタル光ディスク、デジタルダウンロード、そしてストリーミングへの移行が、1曲の長さや、誰がリスナーになるかなど音楽の根幹的な部分に影響を与えました。

最近ではTikTokから多くのヒット曲が生まれ、多くのアーティストがTikTokでバズらせることを目標に曲を作っています。

今後、バーチャルコンサートが、もしコロナウイルスの収束後も大きな影響をもち、メタバースの時代に向けて発展していくとすると、その利点を生かした新しい音楽の形が生まれてくるかもしれません。

例えば、Fortniteで開催されたMarshmelloのライブでは曲の「I can fly」(動画の6:58)という歌詞と連動してプレイヤーが空を飛んでいます。こういったバーチャル空間でのエフェクトを使用するために逆算して作詞をするということも将来的にもしかするとあるかもしれません。

今後のさらなるバーチャルイベントの発展に期待です!

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