台湾のモバイル決済に新王者、君臨!1000万アクティブユーザー、2300億円の取扱高のサービスって?

台湾のモバイル決済に新王者、君臨!1000万アクティブユーザー、2300億円の取扱高のサービスって?

台湾のモバイル決済サービスに台頭した、新王者といえる存在がいます。それは、ソーシャルメディア系のLINE Payでもなく、最大手EC系のPiPayや政府系のTaiwan Pay、独立系最大手のJKOPayでもなく、後発のサービスだったのです。

台湾のモバイル決済における背景

中国におけるモバイル決済最大手である、AlipayとWechatPayは、台湾当局からのライセンスなどを取得できていないため、台湾進出が未だ実現できていません。

一方で、LINEPayは一足早い2014年12月に台湾でローンチしていました。LINEは台湾のメッセンジャーアプリにおける絶対王者です。台湾の人口は2300万人、その中でLINEのアクティブユーザー数は、2100万人なのです。長い間、LINEPayはユーザー数と取扱高において、台湾でのモバイル決済においてシェア1位でした。

2015年4月に台湾最大手EコマースのPCHomeがPiPay(拍錢包)をローンチ、2017年6月には独立系スタートアップJKOPay(街口)が設立されました。その後、2017年11月には政府主導で開発されたモバイル決済サービスTaiwan Pay(台湾Pay)が発表され、2018年時点で台湾におけるモバイル決済普及率は既に50%を超えていました。

2020年までは下図の通り、LINE Payがシェア1位でした。2位はJKOPay、3位はPX Pay、4位はApple Pay、5位は台湾版のSuicaのような電子マネーでEasy Wallet(悠游付)というモバイル決済サービスでした。

2020年までは、LINE Payがシェア1位でした。2位はJKOPay、3位はPX Pay、4位はApple Pay、5位は台湾版のSuicaのような電子マネーでEasy Wallet(悠游付)というモバイル決済サービスでした。

2020年までは、LINE Payがシェア1位でした。2位はJKOPay、3位はPX Pay、4位はApple Pay、5位は台湾版のSuicaのような電子マネーでEasy Wallet(悠游付)というモバイル決済サービスでした。

2021年の新王者は?

急成長を遂げ、シェア1位に君臨したのは、前年で3位だったPX Payです。
PX Payは台湾食品スーパー最大手のPX Mart(全聯)が、2019年5月にローンチしたモバイル決済サービスです。競合サービスより遥かに後発でありながら、2年で約1000万人のアクティブユーザーを獲得し、約600億台湾ドル(約2300億円)の年間取扱高を叩き出しました。いずれも LINE PayとJKOPayが発表している数字より上回っています。

PX Martは1,056店舗のスーパーを運営しており、今年末には1,068店舗、来年中に1,100店舗まで増やす予定と発表しています。平均毎日130万人が来店し、2020年の売上高は1500億台湾ドル(約5900億円)でした。

PX Martは他のモバイル決済業者がリーチできていない客層(中高年、主婦など)にリーチが可能であり、オフラインのプレゼンスを持っていることによって、来店者に対面で自社サービスを宣伝することができます。しかし、PX Payが成功している要因は、親会社PX Martのリソースを活用しているだけではないと考えます。

PX Payチームの記者会見における発言によると、PX Payは構想からサービスローンチまでたったの4ヶ月だったそうです。にもかかわらず、サービスをローンチした時点で、8行の銀行と提携し、クレジットカードの登録やPX Payウォレットへの入金が可能になっていました。台湾の銀行は日本よりもAPIの整備などが遅れている中で4ヶ月以内に8行の銀行とシステム連携が完了できたのは驚異のスピードです。

ローンチ後も様々なかゆい所に手が届く機能を追加し続けています。例えば、台湾ではレシートそのものが宝くじになっており、一般市民は四半期一回の当選日まで紙のレシートを取っておく習慣があるのですが、PX Payを使って決済をすると、そのレシートがデジタルの状態で管理ができ、当選確認も簡単にできます。また、PX Pay内でスーパー、レストラン、駐車場のクーポン券が取得可能で、Gamificationの要素も取り入れています。それ以外にも様々な機能を随時追加したり、変更したりしています。そして、UI/UXも、非常によくできています。

スタートアップ並みに早いスピード感でプロダクトを開発・改善し続けられる大企業、恐るべし!

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