日本で唯一、法律に準拠した円建てステーブルコインを発行しているJPYC株式会社。一体、どのように経営しているのでしょうか。 創業者兼代表取締役の岡部さんにお話を伺いました。

17歳のCTO、65歳の社員、そしてデジタルノマドを雇うJPYC社。秘訣は、オンラインゲームのような経営!?

JPYC 株式会社

日本で唯一、法律に準拠した円建てステーブルコインを発行しているJPYC株式会社。一体、どのように経営しているのでしょうか。
創業者兼代表取締役の岡部さんにお話を伺いました。

Headline Asiaは、米ドルに連動するステーブルコインUSDCを発行するCircle社や、Web3.0のエコシステムにおける有望なスタートアップに投資するInfinity Ventures Crypto社とともに、シリーズAのリード投資家としてJPYC社に出資しました

JPYC株式会社は2019年11月創業、2021年1月に日本初のERC20自家型前払式支払手段として日本円連動ステーブルコイン「JPYC」を発行しました。JPYCをより多くの方に利用してもらえるよう、親和性の高い事業者との業務提携を積極的に進めています。

この記事では、JPYC社への投資を担当したHeadline Asiaのジョナサン(Jonathan)が、JPYC社創業者兼代表取締役である岡部さんにインタビューを行います。

創業者兼代表取締役の岡部さん

創業者兼代表取締役の岡部さん

起業家一筋で活躍されていて、とても興味深いキャリアですね。岡部さんのご経歴を簡単に教えていただけますか?


1978年生まれの43歳です。一橋大学の経済学部でしたが、大学へはほとんど行かずに在学中の22歳の時(2001年)に1社目としてゲーム内通貨のサーバー間取引、いわば両替商のようなことをする会社を立ち上げました。その後、懸賞ポイントサイトやアフィリエイトサイトなどを運営したり、ゲーム開発にも携わりました。そして2017年に二社目を創業し、人々を歩かせて健康にすることを目標にして、歩いた対価として仮想通貨を発行していました。そして2019年に3社目として、現JPYC株式会社を設立しました。

2社目で発行した仮想通貨について、詳しく教えてください。。「暗号資産」として当局に登録したりしたのでしょうか?


「Arukcoin」というトークンで、今も動いているプロジェクトですが、私はもう経営に関わっていません。このサービスでは、ユーザーのスマートフォンに接続して、何キロ歩いたかをチェックします。ユーザーが歩けば歩くほど、より多くのArukcoinを得ることができます。また、指定した場所に行くことで、さらにArukcoinを獲得することができます。

「暗号資産」として登録されていないため、暗号資産取引所には上場できないです。無料で配布することはできますが、価格をつけて販売することはできませんでした。また、ユーザーに代わってArukcoinを保有することができないという意味で、カストディアンになることもできませんでした。

Arukcoinの後、今のJPYC株式会社を設立されましたね。まだJPYC発行事業にピボットする前の時期にも色々な物語があったと思いますが、一番お聞きしたいのは、社員の多様性と岡部さんのマネージメント手法です。そういえばCTO(*)は、16歳で入社したそうですね。(*現在、CTOは二人体制となっています)


はい、そうです。現在、弊社の平均年齢は約27歳です。最年少のメンバーは15歳で入社し、今は16歳です。当時のCTOがきっかけで、もしくは憧れて、多くの若い人たちが声をかけてくれるようになりました。
弊社では、性別や年齢、過去の経験などで判断せず、このカルチャーに共感できる人だけを採用しています。また、若い人が多いですが、一方で当社の最年長社員は65歳ですよ。

性別や年齢など、多様性のある会社を運営することにあたって、得た教訓や特別な経営手法などはありますか?


私は、囲碁が大好きです。また、昔はPokemonGoのゲーム開発会社であるNiantic社が開発したIngressというゲームにもハマっていました。実はこの2つのゲームから、経営に関するヒントを学びました。
囲碁は、ギブ&テイクのゲームです。つまり、相手にどれだけの利益を与えるか、相手からどれだけの利益を奪うか、そのバランスを取る必要があります。加えて、そのタイミングも決める必要があります。これは会社経営にも当てはまります。また、意思決定のゲームでもあります。碁盤に石を置くたびにプレーヤーは決断を行い、そのひとつひとつがゲームの勝敗を決めることになります。なので、私は決断をする練習をたくさんしていて、決断することにとても慣れていると思います。

Ingressは、オンライン陣取りゲームです。プレイ中に、何千人ものプレイヤーに命令を下す経験をしました。Ingressでは、少数の権力者が大勢の人に指示を与えるトップダウン型の組織より、原則に基づいてメンバーがそれぞれ何をすべきかを決定できる自律分散型の組織の方が、圧倒的にパフォーマンスがよかったです。私はその考え方を会社経営にも適用しています。

素晴らしいです!具体的には、どのような自律分散型になっていますか?社員が各自好きなことをやっているのでしょうか?


まず、メンバーの多くはリモートワークです。先日の2周年記念パーティーで初めてオフラインで話した社員も多々いました。
勤務時間は自分で決められます。新しいことをやりたければ、どんどん自由にやればいい。追加のリソースが必要な場合は、「ヘルプ」を出します。そうすると、財務総務部がその「ヘルプ」を評価し、それに応じてリソースを提供してくれます。

自律的に行われていることはたくさんあります。例えば、将棋部、サウナ部、トレーディング部など、社内にはたくさんの部活動があります。社員たちは勝手に新しいSlackチャンネルを立ち上げて集まっています。(笑)

JPYC

JPYC

最後に、今後12ヶ月間で達成したいことを教えてください!


そうですね。100億という数字は区切りがいいので、まずは1年でJPYCの発行額100億円を目指したいですね。採用に関しては、エンジニアもそうですが、英語を話せる人材を積極的に募集しています。

今から参画してくれる人たちには、PayPal Mafiaのように、「JPYC Mafia」になってもらって、経験を積んだ上、将来的には自分でビジネスを始めてもらいたいと思っています。

SUBSCRIBE US! Headline Asia の最新のニュースをお届けします。